テニスに関しては、自分でも上達を実感できるようになり、負けたくないという気持ちをさらに強くしている昨今、“良くない負けず嫌い”が頻出しているように思う。
「分かった」と肝に命じたその舌の根もかわかないうちに、やってしまったYuu。レッスン中の練習試合で自分がアウトコールしたボールに対し、コーチからコレクションが入ってポイントを失ったのをきっかけに、みるみる態度最悪プレーヤーに変貌。周囲の目もはばからずおお泣きする始末。
傍で見ていた私も、堪忍袋の尾が完全に断絶。「おまえなんか、今日で、たった8歳で、テニスを辞めることになるんだ」と言い渡し、そのままアカデミーに置き去りにした。
言い渡したものの、彼女がテニスを辞めるのは私にとっての影響も甚大。かなりの時間と労力と、それ以上の情熱を、Yuuのテニスに注いできているのは否定しようのない事実。それがなくなってしまうのは日々の生活にポッカリ穴があくようなもの。
ヘッドコーチのFrancisco、担当コーチのPhilから、次々と携帯にメッセージが入る。「彼女は大丈夫。話をして理解したはず。」・・・・あれあれ、コーチ陣の心遣いにうれしやら情けないやら。暗くなる前に迎えには行ったが、でも今回はそこで簡単に許してしまうわけにはいかなかった。
彼女の、逆境で負のスパイラルに入ってしまうメンタルは何としても、早いうちに直しておかなければならない。試合に出れば負けることも、理不尽なジャッジに心乱されることも日常的に起こり得る。技術がどんなに上達したって、そういう場面の気のもちようひとつで「勝てない」選手になってしまう。
帰宅したHideも交えた真剣な話し合い(説教)は数時間におよび・・・・Yuuの「もう1回チャンスがほしい。もっと練習して、心を強くして、勝てる選手になりたい」という願いも、その日の夜は受け容れることなく寝かせることにした。
翌朝土曜日はトーナメントにエントリーしていたのだが、さて、どうしたもんか。今回は棄権して本人のお灸にするの良いのか、しっかり反省したことが確認できたら出さしてやるのがいいのか・・・。幸いにして試合開始は16:30なので時間はある。起きてきたYuuはいつもより神妙そうに黙々と食事を済ませ、身支度をしていた。なんと、ちゃっかりテニスウェアを着ているではないか。「あれ、何でテニスウェアなの?テニス辞めるんじゃないの?」と、説教第2弾開始。一晩たって彼女が自分の言葉でどのように語るのかを聴き、忘れないうちに大切なことを日記に書かせ、彼女のテニスに協力してくれている人、応援してくれている人たちがどれだけ沢山いるのかを改めて考えさせ、最後は「じゃ、今日の試合には出て一生懸命やりなさい」という結論に至った。
さて、試合。
今回も12歳初級の部にエントリー。最初のラウンドはByeだったので初戦がQF、対戦相手は第4シード。ドローにシードがついているだけでなんだか強そうだが、過去の対戦成績を調べる限りチャンスはありそう。
いつものように、集合時間に顔を合わせた相手に「なんだ、このちっこいの?!」という顔をされ、「あなた何歳?」のお決まりの質問をされるところから試合開始。(1)足を使うこと、(2)アグレッシブに攻めること(それで失敗するのは良い)、を伝えて送り出した。Hideと私は遠くの観戦シートから見守る。昨晩からの事件もあってか、高い集中力を保てている様子。得意のフットワークもさえていてボールに回りこめている。積極的に強く攻めようとしてフルスイングしているが、どうもラケットの真ん中を外しているのかスピンをかけすぎているのか、ショットが短くなってしまうことが多い。ファーストセットは軽く6-1で取ったが、セカンドセットは中盤までシーソーが続き3-3。こういうとき、精神的には追われている方も辛い。さあどうやって切り抜けるのか、彼女の「心を強くしたい」の言葉が試される場面。注目すべきは彼女の足、心理状況を一番如実に反映するのがフットワークだから。驚いたことにというか、期待を裏切らずに、というか、この日はこの場面でも彼女のチョコマカした足の動きが止まらなかった。強気で攻め切って第2セット6-3で勝利。
「よかった・・・ふぅ」 安堵のため息のバカ親2人。テニスが続けられる喜びを感じてくれただろうか。
明けて日曜日は準決勝、相手は第2シードのお姉さん。今度こそは勝てない相手だろうと最初から諦め気味の私。反して「やってみなきゃわからない」と強気のYuu。おっ、覇気があるじゃん。この試合のテーマは(1)足を使うこと、(2)左右を意識して深いボールで攻めること。第1セット、序盤からラリーが長く続くポイントを競り勝つ場面が続き、4-2でリードする。本人の気持ちもノッてる感じ。が、そこから相手が強い粘りをみせ、Yuuのミスが連続する。ノーアドスコアリングで行われていたのだが、40-40からの1本勝負でもったいないポイントを落とす。そのまま4ゲーム連取され4-6。これは心理的にとても辛い。悔しそうに、半泣きになるYuu。コートサイドで観戦する私たちに「どうすりゃ良いのさ?!」とでも言いたげなジェスチャーでアピール。が、選手に声をかけることは許されていない。「大丈夫、おちついて」の気持ちをこめてウンウンと首を縦に振り励ますが、利いていない様子。ここは少し距離を置いて観戦したほうが彼女の甘えが出ないだろうと思い、2人して移動することにした。3面はさんだ反対側から第2セット観戦。この時点で「今日の試合はもう、このまま崩れて大負けするだろうな」と予想していた。
が、ここから、これまでのYuuが見せたことがないカムバックを果たす。足の動きが止まらない(集中している証拠)、ラケットを振り切って深く左右を狙う姿勢が崩れない(攻める気持ちが強い証拠)。2ゲームダウンの追う立場からラッキーショットやエースも出て、5-5タイに追いついた。「あのコートはそろそろ終わるよ」と次の試合の選手を呼びにかかっていた大会本部にとっても意外な展開だったらしい。
最後は粘り負けで5-7。2時間にわたる長い、良い試合だった。コートから出てきたYuuの表情はスッキリとしている。“負けたけど自分がやれることはやりきった”時の爽やかな悔しさを味わっているのだろう。相手のお姉さんが真っ赤な顔で大汗をかき息を切らしている一方で、「プレイオフはあるの?」と次の試合をやる気満々のYuu。残念ながら今回の大会はプレイオフがなかったので、ここでおしまいとなった。
心配をかけたコーチ陣たちに結果を報告。試合経験はいつも成長を助けてくれる。勝っても負けてもなのだが、特に負けたときの教訓をどうやって生かすのかが大切。引退の危機から実りある大会経験までの大波を、3日間で、家族3人で乗り切った感じ。
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